「音さえ出れば大丈夫」と思っていた時期が、私にもある。
動画を撮り始めたばかりのころ、マイクは安い有線のピンマイクを使っていた。本体の内蔵マイクよりはマシだし、そもそもマイクにお金をかけるくらいなら、カメラや照明に使いたいと思っていたからだ。でも、配信した動画を見返すたびに気になり続けたのが「音」だった。
声がこもる、ノイズが入る、なんとなく安っぽく聞こえる。映像はそれなりに仕上がっているのに、音だけが浮いている。そこで選び直したのが SHURE の配信向けダイナミックマイクだ。私が購入したのは初代のMV7だったが、現在はその後継機としてSHURE MV7+が登場している。今から買うなら迷わずMV7+を選ぶべきだと思っているので、この記事ではMV7+を中心に紹介する。
この記事でわかること
- SHURE MV7+がどんなマイクで、何に向いているか
- 安いピンマイクから乗り換えて実際に何が変わったか
- MV7+の正直なメリット・デメリット
- 初代MV7からどう進化したか
- MV7+が向いている人・向いていない人の判断基準
SHURE MV7+とは|ポッドキャスト・配信向けダイナミックマイクの最新モデル
SHURE MV7+は、アメリカの老舗音響メーカー「SHURE(シュア)」が2023年に発売した、配信・ポッドキャスト向けダイナミックマイクの最新モデルだ。プロ現場で使われる名機「SM7B」にインスパイアされた設計はそのままに、初代MV7からUSB-C対応・指向性の切り替え機能・音質の向上といった改良が加わっている。
価格帯は47,000円前後。エントリーマイクと比べると高く感じるかもしれないが、音楽スタジオやラジオ現場レベルの技術を自宅デスクで扱えるマイクとして、世界中のクリエイターから支持されている。
① USB-CとXLRのデュアル出力
PCにUSB-Cで直接つなぐだけで使える。将来的にオーディオインターフェースを導入したくなったときはXLRに切り替えられるので、長く使える設計になっている。初代MV7のUSB-AからUSB-Cへ刷新され、現代の環境にも対応しやすくなった。
② カーディオイド/スーパーカーディオイドの切り替え
MV7+では2つの指向性モードを状況に応じて切り替えられる。カーディオイドは広めに声を拾い、スーパーカーディオイドはより正面の音に絞り込む。部屋の反響が気になる場合はスーパーカーディオイドにするなど、自分の環境に合わせて調整できる。
③ アプリ連携でEQ・コンプレッサーを細かく調整
SHUREの専用アプリ「ShurePlus MOTIV」と連携すれば、声の高さや部屋の特性に合わせたEQプリセットを選んで音質を調整できる。機材の知識がなくても扱いやすく、初心者でも音を整えやすい。
安いピンマイクで失敗した話
正直に言おう。私が最初にマイクに使ったのは、2,000円以下のクリップ式のピンマイクだった。レビューを見て「コスパ抜群」と書いてあったし、YouTubeを始めたばかりで、そもそも音質の良し悪しがよくわかっていなかった。
実際に使ってみると、確かに「音は出る」。でも、撮影した動画をイヤホンで聞き直すと、なんとも言えない違和感があった。声が薄い、というか、奥行きがなくて平べったい音に聞こえる。ピンマイク特有のサワサワとした衣擦れノイズも入る。部屋の反響がそのまま録音される。エアコンの音も一緒に入ってくる。
動画のコメント欄に「音が聞き取りにくいです」と書かれたとき、ようやく現実を直視した。視聴者に10分間集中して聞いてもらうためには、映像だけじゃなく「音も快適に届ける」必要がある。そこで気づいたのは、マイクに2,000円を出しても音の問題は解決しないということだ。
その後、数千円のコンデンサーマイクを試したが、今度は感度が高すぎてキーボードのタイプ音や外の車の音まで拾ってしまった。結局、「ちゃんとしたものを最初から買えばよかった」というわかりきった結論に辿り着いた。そのときに選んだのがSHUREのMV7(初代)だ。今はMV7+にモデルチェンジしているので、今から買う方にはMV7+をおすすめする。
実際に使ってみた正直な感想
MV7(初代)を使い始めてまず変わったのは、録音した自分の声を聞き返すのが苦じゃなくなったことだ。ピンマイクのときは「ちゃんと聞き取れるかな」と不安だったが、SHUREのマイクにしてからは自然と安心感がある。MV7+はその改良版なので、同じ方向性の音質でさらに使い勝手が向上している。
使い始めてすぐ気づいたのは、声の「芯」が出るということ。安いコンデンサーマイクは声が細く、部屋鳴りが混ざったような音になりがちだったが、SHUREのマイクに変えてから声にしっかりした存在感が出た。ポッドキャストやYouTubeで「声が聞き取りやすい」と感じる配信者の多くが使っているのが、このタイプのダイナミックマイクだと後から知った。
ダイナミック型の良さは、感度が適度に低く、周囲の雑音を拾いにくいことだ。コンデンサーマイクは感度が非常に高いため、マイクから1メートル離れた場所で話しても音を拾う。しかしその分、空調の音・キーボードの音・隣の部屋の生活音まで一緒に収録されてしまう。防音室や静かな録音環境があれば問題ないが、普通の自宅部屋では厳しい。MV7+はマイクの正面に口を近づけて話すスタイルなので、背景ノイズが格段に入りにくい。
気になる点があるとすれば、価格と重量だ。4〜5万円という価格は、マイクに使う金額としては高いと感じる人もいると思う。また本体が重量があるため、スタンドやアームなしでは取り回しが難しい。別途マイクアームを用意することをおすすめする。
SHURE MV7+のスペック詳細
実際にMV7+を使う前に把握しておきたいスペックをまとめた。初代MV7と比較しながら確認してほしい。
| 項目 | SHURE MV7+(最新) | SHURE MV7(初代) |
|---|---|---|
| 型式 | ダイナミック(カーディオイド/スーパーカーディオイド) | ダイナミック(カーディオイド) |
| USB接続 | USB-C | USB-A |
| XLR | 対応 | 対応 |
| 周波数特性 | 50Hz〜20kHz | 50Hz〜16kHz |
| USB出力 | 最大48kHz / 24bit | 最大48kHz / 24bit |
| ヘッドフォン端子 | あり(リアルタイムモニタリング) | あり |
| アプリ連携 | ShurePlus MOTIV | ShurePlus MOTIV |
| 参考価格 | 47,000円〜 | 入手困難になりつつある |
初代MV7からの最大の変化は、USB-C対応と指向性の切り替え機能の追加だ。周波数特性も50Hz〜16kHzから50Hz〜20kHzへと高域が伸び、音の解像感が上がっている。XLR接続を使う場合はオーディオインターフェースが別途必要になるが、USB接続だけでもすぐ高品質な収録ができる。
👤 著者の総合評価
SHURE MV7+ 私はMV7(初代)から使い始め、その音質・使い勝手に満足している。MV7+はそこからさらにUSB-Cと指向性切替が加わった正常進化版。今から新しく選ぶなら、MV7+を選ばない理由はない。安いマイクで何度も買い直すくらいなら、最初からこの一本を買う方がずっといい。
こんな人におすすめ・こんな人には向かない
MV7+は万能ではない。向いている人と向いていない人を正直に書いておく。
✅ こんな人におすすめ
YouTubeやポッドキャスト・ライブ配信を本格的に続けていきたい人。防音環境が整っていない自宅で収録する人。機材の知識が少なくても、とにかく良い音で収録したい人。将来的にXLR接続にスケールアップする可能性がある人。
❌ こんな人には向かない
音楽の録音(楽器・歌)がメインの人(楽器収録には別のコンデンサーマイクが向いている)。とにかく安くマイクを揃えたい入門段階の人。携帯性を重視してスマホ収録がメインの人。
私の場合は「声でコンテンツを届ける」配信をメインにしているので、SHUREのダイナミックマイクの特性が完全に合っていた。マイク選びは「何を収録するか」で変わるので、自分のスタイルと照らし合わせて判断してほしい。
MV7+を買う前に確認したいチェックリスト
- PCにUSB-C端子があるか(または変換アダプターが手元にあるか)
- マイクアームまたはマイクスタンドを置けるスペースがあるか
- 口からマイクまで15〜20cm程度の距離で話せる環境か
- 配信・収録を継続的に行う予定があるか(一時的な使用には高すぎる場合も)
- 将来的にXLR接続やオーディオインターフェースを検討しているか
まとめ|音質への投資は、コンテンツへの投資だ
SHUREのマイクに変えて、収録のたびに感じるのは「これでいい」という安心感だ。ピンマイクを使っていたころは、収録しながらも「この音で大丈夫かな」と不安があった。今はマイクのことを気にせず、コンテンツの中身に集中できるようになった。
音質は視聴者への配慮だと思っている。映像がきれいでも、声が聞き取りにくければ視聴者はすぐ離れる。逆に言えば、音が快適に届くだけで視聴継続率は上がる。マイクへの投資は、コンテンツそのものへの投資と同義だ。
私はMV7(初代)から使い始めたが、今から購入するなら進化したMV7+が最適解だと思っている。安物マイクのやり直しに使うお金と時間を、最初から1本いいものに使う方がずっといい。それが私の結論だ。

